No.036 長期保有資産の買換特例(旧21号買換え)の期限切れの影響について

<改正の概要>

 非常に使い勝手が良かった長期保有資産の買換特例(旧21号買換え)の期限が本年中に切れ、延長されない可能性があります。最近、土地取引の活性化しており、地価上昇も都心においてみられますが、これはファンドのみならず、「地方事業用の物件を売って都心に貸ビルを買う」あるいは「都心の事業用物件を売って都心で貸ビルを買う」などの取引が底支えしていることもひとつの要因です。そもそもこのような買換えによる不動産購入が比較的簡単にできたのは、「長期保有資産の買換特例(21号買換え)」という制度があったからです。もし、この制度がなくなれば、一般的には「1号買換え」しか使えなくなります。しかし、「1号買換え」は、既成市街地等の「内→外」は認められますが、「内→内」「外→内」には適用されません。また、「1号買換え」ですと事務所等以外、つまりアパート売却での買換えも適用されませんし、貸宅地や駐車場の売却は、たとえ事業の用に供していても、建物の敷地にあたらないため、この場合も適用されませんので、非常に困ったことになります。

<改正の経緯>

 平成18年度の税制改正大綱の中で、買換えについて、次のような記載内容となっており、特に買換えについて大幅な変更はなく5年延長されるものと理解しておりました
 「特定の資産の買換えの場合等の課税の特例について、一定の見直しを行ったうえ、その適用期限を5年延長する。」

 そして、実際の法案では、以下の様な内容で改正が行われました。
 「平成18年3月31日で期限が到来する特定の資産の買換えの場合等の課税の特例について、一定の見直しを行った上、その適用期限を平成23年3月31日まで5年延長する。」

 これらの2つ違いは期限が明記されただけで、平成18年3月31日期限到来分が基本的に5年延長となっておりますが、「一定の見直し」というのが、落とし穴でこれは具体的には、「長期保有資産の買換特例(旧21号買換え)」を除き平成23年3月31日まで5年延長するということで法律が改正されました。すわわち、長期保有資産の買換特例である「21号買換え(法人の場合には「22号買換え」)」については、適用期限の延長の対象から除かれており、平成18年12月31日までが本制度の期限であるため、このままでは自動的に制度そのものが終了してしまうのです。
表向きには、買換特例は平成23年まで5年間延長されているようですが、もしこのまま19年度の税制改正で「21号買換え」が延長されずに平成18年末で制度が終了してしまえば、結果として、土地税制として、大幅な増税となります。

<今後の対応>

 いずれにしろ、この「21号買換え」が平成19年以降に延長されるか否かは平成19年度税制改正に委ねられました。延長されるか否かは不明であり、例年通り平成18年12月頃の税制改正大綱の発表を待たなくてはなりません。
 そして、「長期保有資産の買換特例(旧21号買換え)」で買換特例の対象となっていた取引のうち「1号買換え」の対象外となると取引について、影響を受けることになりますが、旧21号の要件が緩かっただけに、従来行われていた買換特例取引の多くが要件を満たさないことは必至です。
 今後、「21号買換え」を適用する前提で不動産を売却したいという方は、安全を考えて、平成18年中に買換えされることをお勧めいたします。なお、少なくとも平成18年12月31日までに売買契約を締結しておけば、引渡は翌年になっても、平成18年分所得として申告すれば「21号買換え」が適用されることになります。

「1号買換え」「旧21号買換え」
譲渡資産既成市街地等内にある事務所・工場・営業所・店舗・倉庫等として使用されている建物(福利厚生施設不可)又はその建物の敷地で所有期間10年超10年超所有の事業用の土地建物等
買換資産既成市街地等以外の地域で土地建物事業用の土地建物を買換資産
備考平成10年度税制改正で、@地域限定がはずされ、 A買換え資産に土地が加わり、 B所有期間がS56.12.31以前所有分から10年超になり、C圧縮割合が60%→80%になった。