No.032 民法と税法の公平感の相違

 民法と税法とでは、プロセス範囲だけでなく、その根底に公平感の違いもあります。主だった違いは以下のとおりです。

民法の公平感税法の公平感
  1. 相続は、「被相続人の地位の承継」であり、原則として相続人の血縁の近さによって、平等に財産が承継されるべき。
  2. 相続=承継との考えであり、税負担については前提としていない。
  3. 現行の税法を含む法体系を前提としても、相続税が遺産取得課税の建前をとっていることから、民法は遺産分割の段階では税負担には立ち入らない。
  1. 相続税は、多額の財産については、累進的に、多額の税を負担するべき。
  2. 遺産取得課税の建前としているため、相続税は、遺産を取得した相続人に課税される。
  3. 相続=承継という民法の建前は崩せないので、相続時点では、限定承認以外は所得税の精算課税は行わない。
  4. 譲渡所得課税は、財産ごとの値上り益に対して行われる。
  5. 配偶者は、被相続人の財産について潜在的に持分を有しており、法定相続分か1億6千万円まで相続税を課さない。
  6. 特定の相続人が取得する特定の小規模宅地については、相続税負担から「承継」を守るため、税負担を軽減すべき。
  7. 生命保険金や退職金も被相続人が築いた財産が元手となっており、事実上の財産として相続税の対象とされるべき。
双方の公平感から相違してくる点
  1. 時価を基礎に法定相続分で分けても、相続税の課税価格は法定相続分に一致しない。
  2. 法定相続分で分割しても、税引き後手取額は法定相続分とはイコールにならない。
  3. 同額の資産を同額の相続税を負担して取得しても、その後の譲渡後手取額は同じにならない。