No.022 相続時精算課税制度を使った非上場株式の贈与


 父親(69歳)が経営している「同族会社の株式」を常務の長男(30歳)に事業承継させるために贈与したいと考えております。平成15年度の税制改正で導入された相続時精算課税制度を選択した場合、2,500万円まで贈与税が非課税とされると聞きましたが、このようなケースにでも適用できるのでしょうか?

 適用できます。特にその会社の株式の価値が今後、上昇すると見込まれる場合には、新しい制度を選択した方が有利になります。
 デフレ状況が続けば、今、贈与するよりも相続まで待ったほうが価値が下がってよいとする考え方もあります。しかし、株の早期保有が受贈者にとって、一定の意味を持つものについては、贈与の検討をしてみるべきです。贈与対象財産としては、1.事業承継目的の同族株式2.収益を生ずる不動産3.住宅等があげられます。ただし、本制度は一旦選択すると、相続時まで継続して適用することとなりますので、慎重に選択してください。

<解 説>

  1. 制度の要件は次のとおりです。

    適用対象者本制度の適用対象となる贈与者は65歳以上の親、受贈者は20歳以上の子である推定相続人(代襲相続人を含む)とする。
    適用手続本制度の選択を行おうとする受贈者(子)は、その選択に係る最初の贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までの間に所轄税務署長に対してその旨の届出を贈与税の申告書に添付することにより行うものとする。
    適用対象財産贈与財産の種類、金額、贈与回数には、制限を設けない。
    贈与税の計算方法贈与税の額は、贈与財産の価額の合計額から、複数年にわたり利用できる2,500万円(非課税枠)を控除した後の金額に、一律20%の税率を乗じて算出する。
    相続税額の計算新制度の選択をした受贈者(子)は、新制度に係る贈与者(親)が死亡した場合にはその相続時に、それまでの贈与財産と相続財産を合算して現行と同様の課税方式により計算した相続税額から、既に支払った「贈与税」相当額を控除します。
    贈与財産の価額相続財産と合算する贈与財産の価額は贈与時の時価となります。

  2.  新制度においては住宅取得等資金以外については、贈与財産の種類、金額、回数に制限はありませんので、事業承継を目的として同族会社の株式を贈与することも当然ながらできます。2500万円までであれば非課税で長男に株式を贈与できますので、大幅な生前贈与が可能になります。まさに事業承継の目的の贈与に適した制度といえます。
     また、自社株は相続税の課税時点で特定事業用資産としての要件を満たせば、株式の贈与時の評価額のうち10%相当額の全額特例を受けることができますので、生前贈与を行ってもデメリットはありません。(ただし、この10%減額特例の規定は、小規模宅地の減額特例との選択ですので、都心に80%減額の特例を使える宅地を有している場合には、効果は限定的です。)