No.020 相続のときの名義預金


(1)名義預金、名義株式とは

 名義預金とは、形式的には配偶者や子などの名前で預金しているが、管理状況や収入等から考えれば、実質的にはそれ以外の真の所有者がいる預金、つまり、それら親族に名義を借りているのに過ぎない預金のことをいいます。
 したがって、名義上は被相続人のものでなくても、実質的に被相続人に係る預貯金と認められるものは、被相続人の相続財産に該当し、相続税の対象財産になります。同様に、株式についても同様に名義株式とされるものがあります。

(2)名義預金等の時効について

 贈与税の課税対象とされる贈与には、(1)民法上の贈与(非課税とされるものを除く)と、(2)相続税法上の独自の観点から設けられたみなし贈与(例えば、生命保険金の贈与等)の2つがあります。
 民法上の贈与については、民法第549条において「贈与は当事者の一方が自己の財産を無償にて相手方に与うる意思を表示し相手方が受託を為すによりてその効力を生ず」と規定されています。
 このことから、「贈与者によるあげますという贈与の意思表示と受贈者によるもらいますという受贈の意思表示をもって成立する契約行為」であることが特徴であり、贈与者による一方的な意思表示のみでは民法上の贈与は成立しないことになります。
 贈与による財産の取得の時期は、贈与の場合は以下のようになります。

態 様原 則
書面による贈与その契約の効力が発生したとき
口頭による贈与その履行のとき
停止条件付の贈与その条件が成就したとき

 ただし、その贈与の時期が明確でないときは、その所有権等の移転の登記又は登録があった時とされます。よって、例えば、父が子供名義で毎年贈与税の非課税範囲で預金をしていても、その預金の存在をその子供が知らない場合には、受贈者(子)による受贈の意思表示がないことから、民法上の贈与としての諾成契約は成立していないことになり、贈与は成立していないため、子供名義の預金が行われて何年経過していても、民法上の贈与が行われていない以上、税務上の時効は成立しないことになります。

(3)名義預金の判定基準

 相続税の調査の際、特に問題となることの多い名義預金の判定の基準は以下のとおりです。名義預金とされれば、その預金の名義人に関わらず実質所有者の所有として判定される可能性があります。

  1. 通帳は誰が開設手続きし、誰の印鑑を使いましたか?
  2. 贈与契約書は作成しましたか?(できれば、確定日付有りのもの)
  3. 贈与税の申告書は提出してますか?(ただし、必ずしもなくてもよい)
  4. 受贈者本人はこの贈与の事実を知っていましたか?
  5. この通帳の保管・管理は誰がしていましたか?
  6. この通帳の預け入れ、引き出しは誰が行っていましたか?
  7. この通帳そのものの存在を相続人は知っていましたか?

※家族名義の預金の印鑑のすべてが同一印鑑であり、しかも、通常被相続人が自分の預金に使用しているものと同じである場合には、名義借りの可能性が強くなります。