No.019 DES(債務の株式化)を活用した税務戦略


 同族企業の場合には、オーナーからの借入金があり、それが多額に上っているケースがよくあります。その発生原因は様々ですが、つまるところ、会社側からみれば、これら返済しなければならない負債です。

 一方、この会社の借入金を、相続という視点でとらえると、オーナーから会社に対する貸付金ですので、オーナーに相続が発生した場合には、相続税の課税対象財産となります。そして、この評価は「その貸付金の額がそのまま相続税評価額」となりますので、現金と同様に取り扱いを受けます。この貸付金が相続後に返済がされれば問題はないのですが、会社の手許現金が不足している場合など、なかなかすぐに返済できないことが多く、相続税はかかるが、財産としては「絵に描いたもち」の様な状態となります。
 したがって、この影響が大きいと予想される場合には、事前になんらかの対策が必要となってきます。

 このような問題の事前解決策として、@DES(「債務の株式化」)が考えられます。すなわち、オーナーからの借入金(負債)を株式(資本)に振り替える形で増資を行い、オーナーの財産を貸付金(現金の同様の評価額)から株式(一般的には、貸付金のままよりは低い金額)組み代え、相続税評価額は引き下げるのです。
 また、DES(債務の株式化)以外でも、会社に税務上の赤字(繰越欠損金)がある場合には、Aそのオーナーが貸付金を放棄することが考えられます。すなわち、どうせ取れない自分の会社への貸付金ならいっそ放棄して、相続財産の対象から除外しようという狙いの下に行われる対策です。この場合、会社側では債務免除益として雑収入が利益計上されますが、繰越欠損金の範囲内であれば、赤字と相殺されるため、法人税は課税されない結果となるのです。なお、以前は、この段階で通常の法人では無税でも留保金課税だけは課税されるケースがありましたが、現行税制では自己資本比率の特例によって、実際課税されるケースはほとんどありません。