No.012 人材投資促進税制
 

 17年度税制改正の目玉である「人材投資促進税制(措置法第42条の12の新設)」は、3年間の時限措置で導入された教育訓練費の額が増加した場合の法人税額の特別控除制度であり、新年度の予算編成を検討する際には、留意したい事項です。特に、教育関連ビジネスを行っている企業にとっては、ビジネスチャンスといえます。
<制度の概要>
  1. 企業について、その増加額の25%に相当する金額を当期の法人税額から控除する。
  2. 中小企業の特例
     中小企業については、教育訓練費を上記基準額より増加させた場合、教育訓練費の総額に対し、増加率の1/2に相当する税額控除率(上限20%)を乗じた金額を当期の法人税額から控除する(教育訓練費の総額に対してというところがポイント。大企業は増加額である)。ただし、法人税額の10%限度(1との選択が可能)。
     また、中小企業については、地方税(法人住民税)においても適用するものとされており、措置が厚く講じられている。


<教育訓練費の範囲>
  1. 制度の対象となる教育訓練費の範囲は以下のとおりです。
    @外部講師謝金
    社外講師・指導員に支払う講師料・指導員料
    A外部施設等使用料
    研修を行うために使用する外部施設・設備等の借上料、利用料
    B研修委託費
    講師、教材等を含め研修の一部又は全体を外部教育機関等へ委託する場合の費用
    C外部研修参加費
    社員を外部の研修プログラムに参加させる場合の受講料等
    D教科書その他の教材費
    研修用の教材・プログラムの購入料等

  2. 教育訓練費のポイント
     本制度の対象となる教育訓練費として外部に支払うというのがポイントであり、詳細は以下のとおりです。
    @ 人材投資促進税制の適用を受けたリース設備等は、IT投資促進税制の対象となるリース情報通信機器等であったとしても、両者の併用はできない。
    A 教育訓練に使用する減価償却資産を取得した場合には、その償却費は人材投資促進税制の対象となる教育訓練費に含めない。
    B 従業員の教育訓練のために支出する費用の中に、いわゆる退職希望者の再就職を支援する目的で行う研修費用等があったケースは、制度の趣旨からして人材投資促進税制の対象とはならない。
    C 教育訓練費からは、その教育訓練費に充てるため国や自治体などの他の者から支払を受ける金額を控除することとされており、給付金や助成金などが含まれる。なお、職業訓練期間中のその雇用する労働者の賃金の1/4(中小企業主1/3)を助成する制度については、あくまでも人件費の助成であり、教育訓練費には含まれていないため、その助成金を控除する必要はないこととなる。
    D 人材投資促進税制の対象となる使用人には、正社員の他パート、アルバイト、派遣社員等も含まれると解されている。
    E 自社の使用人や役員が講師となって行う教育訓練等は、その使用人や役員に支払う給与や手当てについては教育訓練費用の対象外となる。また、外部の施設を利用する際や外部講習を受講する場合、その教育訓練等の実施場所へ行くまでの交通費・旅費を支給したとしても、それは、対象とはならない。

  3. 計算例
    中小企業特例適用の例
    教育訓練費(前2事業年度平均)2,000万円の企業が、当期における教育訓練費を・・・
    @400万円(20%)増加させた場合
    法人税額控除
     240万円 <2,400万円(総額)×20%×1/2(控除率 10%)>
    A800万円(40%)増加させた場合
    法人税額控除
     560万円 <2,800万円(総額)×40%×1/2(控除率 20%)>
      (注)中小企業の場合は、法人住民税の税額控除あり。