No.010 相続登記は行う必要があるか?
 

(はじめに)
 相続で、不動産を取得した場合、登記をするのが一般的です。ただ、登記をするか、しないかは、相続人等の任意ですから、登記しないですませているケースもあります。通常、不動産を「購入」して、登記をしないというケースは、まずありませんが、相続の場合は、分割協議書などの作成手続きが煩雑なことやコストの問題(相続なら不動産取得税はかかりませんが、登録免許税や司法書士報酬はかかります。)で、相続登記をなさらない方が結構いらっしゃいます。しかし、任意とはいっても、登記をやっておかないと後々になって、問題となりますので、登記は必ず行ってください。
(事例) 
 あるおばあさんの相続で、先祖伝来の不動産の相続登記を省略したままにして取得し、数年後に、お父さん(おばあさんの長男)が亡くなりました。その時もおばあさんのときと同様に、お父さんの相続登記を省略しました。こんな状況下で、そのお孫さん(お父さんの長男)の代でその不動産を売却することになりました。実態としては、お孫さんが相続をしてきたというもの、登記簿上の名義は、依然として、おばあさんのままとなっております。当たり前ですが、おばあさんは既に死んでおり、実在しませんので、おばあさんの名義では不動産の売買の移転登記はできません。ではどうすればよいのでしょうか?
(アドバイス)
 一般的に、相続税の対象となる場合には、財産目録や分割協議書が用意されていることがほとんどですので、後で相続登記するときもさほど問題になりません。しかし、相続税の対象となっていない場合には、相続人間で分割協議を行わないままにしているケースがあります。この場合には、今から遡って分割協議書あるいはそれに相当する書類を遡って作成する必要があります。すなわち、その不動産を売却するためには、@「おばあさんからお父さん」、A「お父さんからお孫さん」へと連続した登記が必要となります。そのためには、分割協議で一旦、おばあさんから亡くなったお父さん名義にした後、今度は亡くなったお父さんの分割協議書を作成するという面倒な作業を行う必要があるわけです。
 この名義変更の作業ですが、実はおばあさんの相続人がお父さんだけなら、お父さんの相続だけを問題にすれば良いのですが、おばあさんの相続人がお父さん以外にいる場合には、その方たちにも一定の権利がありますので、その相続人からハンコをもらう必要がでてきます。しかし、お父さんと同世代ですので、その相続人も既に死亡して代替わりというケースも多く、そうなると、今度は、その代替わりしている全員分のハンコを貰うことになり、非常に大変な作業となります。また、所謂ハンコ代の支払いも馬鹿になりません。
 こういった結果とならないように、税金の対象とならずとも相続人間で分割協議を行い、分割協議書を作成し、後々のことを考えて、相続登記も行うようにしてください。